Treatment 
 予防ケア 

予防ケアとは

予防ケアとは

「歯科医院には、歯が痛くなったら行く」という考えの方も多いのではないでしょうか。しかし、痛みなどの症状が出ている場合はすでに虫歯や歯周病にかかっていて、歯を失う原因となります。

歯は加齢によって失われていくと思われている方も多いですが、若い頃から歯科医院で定期的にメンテナンスを受けていれば、多くの歯を残していけるのです。1本でも多くの天然歯を残していくためにも、虫歯・歯周病にならないための予防ケアが大切です。

お口の健康は、体の健康に直結します。
お口と体の健康を維持させる治療、それが予防ケアです。歯磨きだけでは落としきれない汚れをきれいにしたり、虫歯・歯周病を早期発見したり、患者さまに合った歯磨き指導を行なったりと、当院では予防ケアにも力を入れています。

予防ケアの必要性。歯は削れば削るほど悪くなる!?

予防ケアの必要性。歯は削れば削るほど悪くなる!?

「虫歯になっても、削って治療をすれば良くなる」と考えている方は多いのではないでしょうか。たしかに虫歯の部分を削り取り、硬い金属の詰め物・かぶせ物をすると、何だか以前よりも丈夫になったように感じますよね。しかし、残念なことに、歯は治療すればするほど悪くなります。

あまり知られていませんが、お口の中は非常に過酷な環境に置かれています。熱い食べ物や冷たい飲み物が絶えず入ってくるうえに、物を噛み砕く際は、歯と歯が激しくぶつかり合います。この過酷な環境が原因で、「歯」と「詰め物・被せ物」の間には目で確認できないほどの小さなすき間がどうしても生じてしまいます。そこから虫歯菌が侵入し、虫歯が再発するのです。

そして、一度治療した歯を再治療する際には、さらに大きく歯を削る必要があります。こうした再治療のサイクルを繰り返していると、最終的には削る歯もなくなり、抜歯、そしてインプラント・入れ歯・ブリッジの流れをたどります。これを裏付けるデータとして、成人の方の虫歯治療の70~80%は、新たにできた虫歯の治療ではなく、過去に治療した歯の再治療であるといわれています。

一度治療した歯は強くなったのではなく、弱くなったという認識が大切です。治療後、虫歯を再発させないように、予防ケア・メンテナンスの正しい知識を持ち、今までよりも歯を大切にしていきましょう。

歯磨きだけでは虫歯・歯周病は予防できない!?

歯磨きだけでは虫歯・歯周病は予防できない!?

「毎日歯を磨いているのに、虫歯・歯周病になるのはどうしてですか?」これは患者さまからよく聞かれる質問の1つです。

日本では「歯磨き万能主義」の考え方が幅を利かせていて、とくにテレビCMでは、その歯ブラシや歯磨き粉を使えば、虫歯・歯周病にならないようなイメージを与えています。

では、現実はどうでしょうか?もちろん、毎日の歯磨き習慣は大切です。しかしながら、それだけでは虫歯・歯周病の予防ができないのも事実です。

その理由は、「バイオフィルム」とよばれる、歯磨きをしていても除去できない強力な汚れにあります。具体的にイメージしていただくために、当院では患者さまには次のような例え話をしています。

毎日、台所の三角コーナーの中にある「生ごみ」を捨てますよね。これがお口の中では、歯を磨く行為にあたります。しかし、毎日生ごみを捨てていても、1ヵ月もすると三角コーナーがヌメヌメしてきますよね。実はこれと同じ現象がお口の中でも起きているのです。三角コーナーのヌメヌメをきれいにするために、みなさんはどうしているでしょうか?

おそらく、クレンザーなどの強力な洗剤を使用して、元通りのピカピカの状態に戻していると思います。しかし三角コーナーと異なり、お口の中では強力な洗剤は使用できません。

したがって、強力な洗剤のように危険性のない歯磨き粉を使用することになります。けれど、残念ながら歯磨き粉だけではお口の中のヌメヌメを完全に落としきれません。これが、毎日歯を磨いていても虫歯・歯周病になってしまうメカニズムです。

お口の中にできるヌメヌメをバイオフィルムとよび、虫歯菌・歯周病菌などが張っているバリアのようなものといえます。バリアを壊さない限り、虫歯菌・歯周病菌などに直接効果的な攻撃を加えられません。

このバリアを除去するためには、歯科医院で定期的にPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)とよばれる「歯科医師・歯科衛生士による機械を用いた歯のクリーニング」を受ける必要があります。

PMTCは、頑固な汚れであるバイオフィルムや歯石を除去するだけでなく、歯の着色汚れも除去可能で、歯の自然な白さがよみがえります。また、歯がツルツルになり、お口の中がサッパリするなどの爽快感が患者さまに大好評です!

またPMTCでは、軟らかい特殊な器具を使い、痛みに敏感な方にも配慮しています。

歯磨きだけでは虫歯・歯周病は予防できない!?

予防ケアの3つのメリット

  • 1.虫歯や歯周病を早期発見して事前に防げる

    歯科医院での定期的なメンテナンスを習慣づけましょう。虫歯や歯周病などのトラブルを早期発見できれば、症状が進行する前の軽い段階で治療を行なえます。定期的な予防ケアを行なえば、年をとってから歯を失う事態を避けることにもつながります。

  • 2.健康な歯を長く維持できる

    歯は一度失うと、元の状態には戻りません。修復によって歯としての機能は取り戻せますが、歯自体は元通りに復活しないのです。
    虫歯が進行して歯を削れば、やがてその歯は失われていく可能性が高いでしょう。治療後の歯は、健康な歯に比べて耐久性が低く、治療が複数回必要になる場合もあるためです。天然歯をできる限り残すためには、歯の健康を維持する必要があります。そのためにも、日頃の予防ケアが大切です。

  • 3.経済的負担が軽くなる

    歯の定期的なメンテナンスには費用がかかります。しかし、長い目で見れば、歯科治療に要する費用負担を抑えることにつながるのです。虫歯や歯周病は、一度かかると完全に治すのが難しく、長期的な治療が必要になるケースが一般的で、定期的メンテナンス以上の費用と時間を要してしまうといえます。

当院の予防ケア「体制」、そして「考え方」

当院の予防ケア「体制」、そして「考え方」

1.「広い範囲」での予防ケアを提唱

予防ケアは一般的に「虫歯や歯周病にならないようにすること」と考えられていますが、当院ではもう少し広い範囲での予防ケアを提唱しています。

例えば「歯並び」について。歯並びが悪いと、虫歯や歯周病になりやすいうえに、発音障害や精神的コンプレックスにもつながります。歯並びを早期に治療すれば、お口の健康、ひいては精神的な安定も得られ、広い範囲での「予防ケア」となります。詳しくは矯正歯科のページをご参照ください。

また、抜けた歯をそのままにしていると、他の健康な歯がすき間を埋めるように倒れこんでしまいます。すると、残った歯に噛み合わせの負担が集中し、その歯がグラグラしたり割れたりして失われるという悪循環が起こります。

そうならないよう、抜けた歯の代わりとなるインプラント・入れ歯・ブリッジなどを入れることが、お口の健康、そして体全体の健康にもつながるのです。

2.予防ケアに精通した歯科衛生士の存在

歯科医院には、歯科医師以外にも「歯科衛生士」という国家資格を持ったスタッフが在籍していて、歯科衛生士は「予防ケア」「歯周病治療」の専門性を有しています。当院には、多様な臨床経験を持つ歯科衛生士が多数在籍していて、責任を持って患者さまの処置・管理を行なっています。

虫歯や歯周病の予防ケアでは、歯垢・歯石・バイオフィルムを除去するだけではまだ足りません。実は、あなたの「生活習慣」が原因で、虫歯・歯周病を誘発している場合も多々あるのです。

例えば、食事の内容・回数・時間帯や、喫煙習慣・ストレス・睡眠時間などが関係します。患者さまそれぞれの性格・生活リズム・お仕事などを総合的に考慮し、歯科衛生士が無理のないプランをご提案させていただきます。

か強診とは

か強診とは

か強診とは、「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」のことです。厚生労働省による制度で、虫歯や歯周病の重症化を防ぎ、歯を失わないための定期的なメンテナンスを行なう歯科医院を厚生労働省が認定しています。

これまで予防ケアは保険診療ではありませんでした。しかし、かかりつけ歯科医院の有無と、虫歯の発生や歯の残存本数には関連があることが近年明らかになってきたため、か強診の制度を推進しているのです。厳しい認定基準をクリアした歯科医院では保険の適応範囲が拡大され、歯のクリーニングやフッ素塗布などの予防ケアを受けやすくなりました。

当院もか強診に認定されていて、地域のお子さまからご高齢の方まで、多くの患者さまのかかりつけ歯科医院となっています。

予防ケアの主な治療内容

予防ケアで行なわれる主な治療内容には、以下の3つがあります。順番に見ていきましょう。

  • 1. PMTC
  • 2. フッ素塗布
  • 2. 歯磨き指導

1.PMTC

PMTCは、専門的な機器や技術を利用して、歯の汚れを取り除く処置です。毎日行なう歯磨きのみでは落としきれない歯垢や歯石を、歯科医師や歯科衛生士が除去します。
きれいな歯を保ちたいからといって、PMTCを頻繁に実施する必要はありません。予防ケアでPMTCを行なう頻度としては、数ヵ月に1回程度でよいでしょう。
ご自身による歯磨きだけではどうしても落としきれない汚れがあるため、数ヵ月に一度の定期的メンテナンスでPMTCを受け、お口の中の病気を防いでいきましょう。

2.フッ素塗布

フッ素は、歯の再石灰化を促進する効果と、歯質を強化する効果を持つ塗布性の予防ケアの一種です。再石灰化とは、食事などによって酸で溶けてしまった歯を修復する働きを指します。
そもそも人間の唾液は歯の再石灰化に作用していて、フッ素塗布によって、その働きをより促進できます。予防ケアではフッ素を定期的に塗布し、虫歯などのトラブルが起きにくい状態を目指します。

3.歯磨き指導

予防ケアでは、歯磨き指導も行ないます。定期的なメンテナンスによるPMTCなども大切ですが、日頃の歯磨きこそがお口の中の環境を左右するといっても過言ではありません。
そのため、正しい歯磨きの方法を知り、日頃のセルフケアをより効果的なものにしていきましょう。一人ひとり歯の生え方やお口の中の環境が異なるため、歯磨きの方法も変わってきます。

メンテナンスについて

メンテナンスについて

歯の治療が終わったら通院の必要はない、ということはなく、再び虫歯や歯周病にならないように、健康なお口の状態を維持させるためのメンテナンスが必要です。先述した通り、ご自宅で行なう歯磨きなどとは異なり、当院ではより専門的なメンテナンスを行なっています。

メンテナンスを継続するメリットを感じにくいかもしれませんが、ある統計では、将来の歯の残存本数や、歯の治療にかかる費用などに明確な差が出ています。メンテナンスの重要性について、以下で詳しくご説明します。

定期的メンテナンスの効果

歯科医院での定期的な予防ケア・メンテナンスを「した方」と「そうでない方」の年齢別の統計があります。これによると、80歳になったときに残っている歯の本数に9本近くの開きがでました。
以下によりわかりやすく、メンテナンスをしている場合としていない場合の比較をご説明します。

定期的メンテナンスの効果

「痛いときだけ通院する方」と「定期的に通院する方」の歯のライフサイクルと治療費の比較

「3~6ヵ月に1回も定期的にメンテナンスに行くのは面倒だし、費用も高くなりそう」と感じる方も多いと思います。しかし、定期的に通院したほうが、生涯で約300万円も治療の費用を抑えられたというデータがあるのです。

また、当院が最も主張したい点は、「80歳になっても自分の歯で過ごせる」ことの素晴らしさです。

「歳をとれば、自然に歯が抜けてしまう」と思っている方もいらっしゃるでしょうが、事実は違います。若い頃から歯科医院で定期的にメンテナンスを受けていれば、上記の図にもあるように、多くの歯を残すことが可能となるのです。

歯を失うつらさは、実際に体験してみないとわかりませんが、歯を失うと生活の質は落ちるといえます。快適な老後を送るためにも、早いうちから歯のありがたみを理解し、日々の歯磨きや定期的なメンテナンスを生活習慣の1つに組み込むことが非常に大切となります。

「治療の連鎖」を断ち切るために

ここまでの説明により、虫歯・歯周病の治療が終了しても、治療前の生活習慣や歯に対する考えのままであれば、結局は再治療の可能性が高まることがおわかりいただけたと思います。

現在の歯科医療では、虫歯・歯周病の原因が解明されていて、どのようにすれば虫歯・歯周病にならずに済むのかの予防ケアが確立しています。

虫歯・歯周病になった場合、その原因となるリスク(生活習慣・歯磨きの方法・間食など)が存在しています。このリスクを減らせなければ、治療したとしても再発する可能性は高まります。

当院のメンテナンスでは、単に歯石・バイオフィルムなどを除去するだけでなく、患者さまのリスクを把握し、リスクコントロールのアドバイスも行ないますので、ぜひ有効活用してください。

せっかく治療した歯は、できるだけ長く快適な状態にしたいですよね。今度は治療ではなく、お口の中のケアのために当院にお越しください!

3ヵ月~6カ月ごとの定期的なメンテナンスをおすすめします。

クリーニング・PMTCにともなう一般的なリスク・副作用

  • ・内容によっては保険適用となることもありますが、歯の病気の治療ではないため、基本的には自費(保険適用外)となり、保険診療よりも高額になります。詳細は歯科医師にご確認ください。
  • ・歯科医院でのクリーニング・PMTCだけでは、虫歯・歯周病の予防はできません。日ごろから歯磨きなどのケアに努めることで、予防効果を上げられます。
  • ・歯肉の腫れや歯肉炎のある方は、器具が当たることにより痛みや出血をともなうことがあります。
  • ・歯と歯肉の境目への歯石の付着が多い方は、歯石除去後、歯肉から出血が見られることがあります。多くの場合、クリーニング後しばらくすると出血は治まり、1~2日で歯肉は治癒します。
  • ・着色汚れや歯垢・歯石はクリーニング・PMTCで除去できますが、効果は永続的ではありません。いずれも再付着するものなので、定期的に受診して処置を受けることが大切です。

フッ素塗布にともなう一般的なリスク・副作用

  • ・保険診療となるのは、基本的には13歳未満で、虫歯予防の指導を継続的に受けているにもかかわらず虫歯の多い子供に限られます。健康な歯に対する虫歯予防目的で行なう場合は自費診療(保険適用外)となります。詳細は歯科医師にご確認ください。
  • ・補助的な予防ケアとなり、虫歯にならないわけではありません。あくまでもきちんと歯磨きをしていることが大切です。
  • ・効果が永続的ではないので、年に数回フッ素を塗布してもらう必要があります。
  • ・フッ素塗布を必要以上に繰り返したり、歯科医院でのフッ素塗布のほかにフッ素配合の歯磨き剤などを多用すると、フッ素の過剰摂取になる可能性があります。

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