歯科疾患の予防はとても簡単

2020年9月2日

予防歯科(歯科疾患)の予防について【基本は食事】

虫歯や歯周病になるということは、お口のケアを徹底している人にとっては世界の七不思議のひとつという感じのものかもしれません。ある程度健康的な食生活をしていれば、いくつもの歯に虫歯ができたり、歯周病になったりすることまずないということができるでしょう。健全な食生活に加えて正しいブラッシングを行っていればまさに“虎に翼”です。この二つを併せて実践することで虫歯や歯周病と無縁になり、虫歯になってしまうお子さんもいなくなるのです。

そんな簡単な心がけで虫歯や歯周病が果たして防げるのかという疑問をもつ方も多いでしょう。このページをご覧になっている方の中にはもしかしたら、これまでにお口のトラブルで苦しみ、多額な歯科治療費を投じてこられた方も少なくないでしょう。また、遺伝的に歯が弱いから仕方がない、と半ばあきらめのような考えをお持ちの方もいるかもしれません。

食生活やブラッシングに小さいころから気を使っていると、大きく成長しても、1本の虫歯もなく、歯肉も美しく、歯列もきれいに整ったお口になります。バランスの良い食べ物をよく咬んで食べていると歯並びも美しくなるのです。また、食べ物をよく噛んで食べることで頭が良くなるということも示唆されています。

健康な食生活とよく噛んで食べる食事、適切なブラッシングを習慣化して行うと、「歯や体の健康のもとは食生活」であるということがお分かりいただけると思います。健全な食生活こそ健康づくりの最も重要な基本となるのです。

健康調査結果から食と歯の健康についてわかったこと

あるデータでは、モンゴルの遊牧民のお口を調査してみると、とても美しい歯や歯列をしているという結果があります。また、彼らの特徴は歯ばかりではなく、姿勢の良さや、皮膚の輝いた色艶なども挙げられていました。モンゴルの遊牧民の主な食べ物は,羊や馬などからとれる肉や乳、そして乳を加工した乳製品です。また、ケニアのマサイ族の調査結果も基本的にモンゴルの遊牧民族と共通した点が多く挙げられます。マサイ族も素晴らしい歯や歯列、正しい姿勢や皮膚の輝きをもっています。視力の良さもマサイ族は驚異的で、4.0以上の視力を持つ人が多く存在します。マサイ族の食生活は、家畜の肉や乳、血などが主なものとなっています。

日本の健康な老人の調査

一方で日本の健康な老人の調査では、身近でとれたものを食べるのが主で、とても簡素な食生活をしている老人もいました。また、食事についての戒律がある宗教団体に所属している人たちの調査では、歯や体の健康状態は、戒律に縛られていない他の一般的な日本人に比べて明らかに良く、食生活は自然の恵みを過度な加工をせず、バランスよく食べるというマサイ族やモンゴルの遊牧民族などと似通った共通点が認められました

歯の良い人と歯の悪い人の比較調査について

お口についての調査データは非常に多く、歯の良い人と歯の悪い人の比較調査など、様々な調査研究が行われています。それらの結果の全体を通していえることは、世界中の地域により、気候や地質などの自然条件が異なるため、その地域でとれる食物は大きく異なるものの、肉中心であったり魚中心であったり、穀物や野菜が中心であったりしても、自然からの恵みを自然に近い形で食べるという点は共通している、ということをいうことができます。これらのデータを通して判断をすると身土不二という言葉が持つ説得力もお分かりいただけるでしょう。

歯の悪い人たちに共通した食生活の傾向

お口や歯にトラブルを抱えていないような人たちに共通点がいくつかあるように、歯の悪い人たちにもまた共通した食生活の傾向も認められます。栄養バランスでいえば、厚生労働省が発表している栄養所要量と比較して、脂肪や砂糖などのエネルギーが過剰で、ビタミンやミネラル類、食物繊維が不足しているということが、歯の悪い人の共通傾向になります。例えば、野菜や花などを育てるのに肥料のバランスや土質が生育の決め手になることに疑う余地はないでしょう。それらを基本として、温度や湿度、日照時間などの様々な環境が整えば、植物はその遺伝子に許された範囲で能力を発揮し、元気にのびのびと育つことは誰もが認めることだと思います。

食生活などに重点を置いたお口のケア

人間も生物ですから、植物とまったく同じことがいえることは当然で、様々な調査結果も裏付けています。しかしながら、問題は、このような食生活などに重点を置いたお口のケアが、歯科医学の世界ではあまり関心が持たれず、研究や治療に十分に活かされていないという点です。学校や歯科医院でも、児童や患者に対してブラッシングの指導は広く行われていますが、食生活に重点を置いた健康づくりや、歯科疾患予防の指導は行われていません。日本では、ブラッシングやフッ素塗布などという末節の予防活動が重視されているのです。

全人医学観とはなにか

紀元前460年、ギリシアのコス島で医学の父や、疫学の祖と呼ばれるヒポクラテスは既に全人医学観を説き、現在の大学病院のように規模の大きいアスコレピオンという施設をつくり、近代医学を体系づけて教育や、診療活動を行っていました。また、ヒポクラテス全集には、食生活を基本とし、生活環境を重視した健康づくりや治療法がきちんとまとめられています。ヒポクラテスは人間を環境との関係で全体としてとらえ、その中で歯や心臓、そして、内科疾患や流行病などの部分を考えています。つまりヒポクラテスは全体と細部を常に統合して考えているのです。一方で、現代人や現代医学では細分化を進め、全体を統合する力を失ってきています。しかしながら、現実には、体は全体として生きています。つまり、細部ではなく、全体を忘れずに考えれば、歯の健康を守ることは実に簡単なことなのです。

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