世界の国々の歯磨き事情とは

2020年8月27日

かつての日本では、歯を磨く際に木の枝を使って磨いていました

私たち日本人の多くは、朝晩など一日に数回、歯ブラシに歯磨き粉を使いブラッシング(歯磨き)をしています。
今でこそ当たり前のようにプラスチック製の歯ブラシを使っていますが、かつての日本には今日の私たちが使っているようなプラスチックでできた歯ブラシや、フッ素などが配合されている歯磨き粉はありませんでした。

1800年代後半に、クジラのひげの柄に馬の毛を植え付けた「鯨楊枝」が開発・販売されたのがわが国最初の歯ブラシであるといわれています。歯ブラシはその後大正時代にかけて一般に広く浸透しました。
「鯨楊枝」が開発される以前は、6世紀に仏教とともに伝来した「歯木」が歯ブラシの代わりでした。「歯木」は「房楊枝」とも呼ばれ、使用されていました。
これは日本に現存している最古の医学書の「医心方」(984年朝廷に献上、撰者:丹波康頼)にも歯磨きについての記述があり、昔の日本にも歯磨きの文化があったことがうかがえます。
「房楊枝」は、竹や杉などの枝を細く切り、先端を金づちで叩き、房状に柔らかくしたものでした。

現在でも一部の国々では、「房楊枝」のようなものでブラッシングをしています。プラスチックでできた歯ブラシの代わりに、天然由来の素材を使った歯ブラシを使っているのです。
そして、そのような国々の人たちは、健康的で白い歯を持つ人が多くいます。いったい彼らはどのようにしてお口の環境をきれいに保っているのでしょうか。

歯磨き粉も歯ブラシも使わない国、セネガル

まず最初に、アフリカ西海岸に位置する国、セネガルを例にとります。
セネガルで40%ほどの人が話すウォロフ語で「ソッチュ」と呼ばれている木の枝を歯ブラシのように使っています。
セネガルの店先にはもちろん歯磨き粉や歯ブラシも市販されていますが、ソッチュの小枝を口にくわえてブラッシングするのが好きな方の方が多いようです。セネガルの道端で小枝をくわえている人を見かけると、パッと見はたばこを吸っているかのように見えますが、実は歯を磨いているのです。
ソッチュをナイフで削り、歯を磨きますが、顎や歯ぐきが鍛えられそうですね。

西アフリカのガーナの場合

ダイヤモンドや金、カカオ豆の生産地として有名な西アフリカのガーナでは、歯ブラシの代わりに「ニーム」という木の枝を使って歯を磨きます。
ガーナでは、道端などで、子どもがニームの小枝を束ねたものを売り歩いている様子を見ることもあります。ニームを口で爪楊枝のようにしてくわえ、ニームの先端を奥歯でよく噛み、ブラシのように繊維をほぐします。
繊維をほぐしたニームで、歯や歯と歯の隙間、歯茎をブラッシングするのです。ニームには天然のホワイトニング効果もあるため、歯が白くなり、にじみ出た樹液は薬用効果があり、体にも良いようです。

インドの場合

人口増加が著しく、2030年代には世界第一の人口を誇る国になるといわれているインドでは、「ニンバ(ニーム)」と呼ばれている天然の歯ブラシを使ってブラッシングをしています。
仏典には釈迦が楊枝を使い地面に投げたところ、それが根付いて大木になったという逸話があるため、インドでは古代から楊枝を使ったブラッシングがされていたと考えられています。
20cmほどの長さのニンバを10分前後噛み、先端の繊維をほぐし、ブラシのようにして使います。
インドでは、ニンバはどこにでも見られる大きな木で、ポピュラーなハーブとして日常的に親しまれています。
ニンバの枝は歯のブラッシングに、葉っぱはお茶になり、木からは天然のオイルが抽出でき、粉末やタブレット状の万能薬として使われていたり、ニンバはインドでは欠かさない存在なのです。
ニンバの種からとれるオイルや絞った後の種には虫よけの効果があるほか、葉はバッタが食べれないほど苦く、殺菌効果や血液浄化効果、毒素の排出などの高架があります。そのため、ニンバは「肌の女王」「村の薬局」等と呼ばれています。

歯磨きはとても大切な習慣です

例として取り上げた三か国のような、樹木の枝を使った歯ブラシにはたくさんのメリットがあります。
1つ目のメリットは毎日新鮮な小枝で歯磨きができ、使い捨てができるということです。私たちのように毎日同じプラスチック製の歯磨きを長期間使う方が、清潔にするのが難しいかもしれません。

そして、木の枝を噛んで繊維をほぐすことによって、薬用効果がある樹液がしみ出します。これによって、歯茎などの炎症を未然に防げます。また、噛む作業によって、歯茎と歯の運動をすることができるため、口の中をより清潔にでき、口臭も防げます。
少なくともインドでは紀元前5世紀前後にはおこなわれていた、木の枝を使ったブラッシングはとてもエコだといえるでしょう。

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