歯のクリーニングの必要性について

2019年8月5日 多賀歯科医院 八王子 歯医者 コラム写真080503

歯のクリーニングや予防歯科とは…

昨今、口腔疾患の予防の重要性は歯科にとどまらず、医局でも推奨されています。
歯科医院をはじめとする歯科業界では、以前から虫歯や歯周病の予防歯科に取り組んでいます。
しかしこれらの概念などはなかなか広まらず、苦戦していたという事実もあります。
歯科医院で歯科医師や歯科衛生士から指導されるブラッシングの内容も、頭では理解していても普段の生活にはなかなか取り入れられず、漫然としたブラッシングになってしまう、という方は少なくありません。
日々の漫然としたブラッシングの蓄積によって、いつの間にか虫歯や歯周病が広く蔓延し、いつしか国民病と呼ばれるようになり、その状態が長く続いているといっても良いでしょう。
近年では歯科での治療もですが、予防歯科の考え方が以前のものよりも進歩しているため、予防歯科に特化した数々の処置も導入されています。
このような努力の数々が徐々に実を結び始め、少しずつ予防歯科治療に対しての認識や理解が広まってきています。
しかしながら、まだ虫歯や歯周病の罹患率が著しく減少するまでには至っていないという実情もあります。
このような現状を踏まえ、予防歯科に有効な方法の一つとして、歯のクリーニングが歯科業界全体で推奨されています。

では、なぜ歯のクリーニングが必須である、と言われるようになったのでしょうか。
それらの理由についてこの項で簡単に解説していこうと思います。

歯のクリーニングとは

かつて歯のクリーニングという考え方はあまり広く浸透していませんでした。
しかし昨今では、歯科医院などで当たり前のように耳にする言葉となっています。
歯のクリーニングとは、歯に付着している歯垢や歯石、また歯の着色などを専用の器材を用いて取り除くことを指します。
クリーニングには、自身で行うものと、歯科医院で歯科衛生士が行うものがあります。
どちらも虫歯や歯周病の予防にとても大きな効果が期待できます。
その中でも、特に歯科衛生士が機器を用いて行うクリーニングのことを
「PMTC(=Professional Mechanical Teeth Cleaning[専門家による機器を用いた歯のクリーニング])」
と呼びます。

歯のクリーニングが重要視・推奨される理由

歯のクリーニングは重要ですが、なぜ重要であるといわれているのでしょうか。
その考え方の要因となるのが、歯の汚れである歯垢と歯石です。

歯垢・歯石は虫歯や歯周病の「諸悪の根源」といっても良いでしょう。
この項では、それらについて簡単に説明していこうと思います。

歯垢について

歯垢とは端的に表現すると細菌の集合体です。
見た目は薄黄色や白色の粘着性の物質で、歯と歯茎の境界や歯と歯が隣接する部分、主に歯の溝などのくぼみに付着します。
ここからが歯垢の恐ろしいところなのですが、細く小さな針の先ほどサイズの中にすら、数百種類、数にして1〜2億もの細菌がいるといわれています。
またその表面はとても強固なバイオフィルムという膜で覆われています。
そのため、殺菌剤や消毒剤などの薬品も簡単には通しません。
また、歯垢は強い粘着性を持っているので、うがいだけでなくしっかりと歯磨きも行わないと除去することができません。

歯石について

歯石は歯の表面に石のようにこびりつく黄色や灰色、黒っぽい色の付着物を指します。
唾液のカルシウムを沈着させる石灰化という働きによって生まれた歯石は顕微鏡で観察すると穴ぼこだらけの構造になっており、それは細菌にとって実に暮らしやすい環境となっています。
そして歯石の一番に厄介な点は、歯磨きでの除去ができないのです。

歯垢・歯石は深刻な歯周病の原因に

歯垢と歯石は、どちらも様々な種類の細菌の集合体です。
それらの細菌の中には、歯周病や虫歯の原因の菌やカビの存在も確認されています。
これらの細菌は時間経過とともに徐々に増殖し広がります。
そして同時に歯を溶かす効果のある酸や、歯肉などに炎症を起こす物質をどんどん生産するため、歯が脱灰し歯肉も腫れてしまうのです。
歯石や歯垢を放置すると、細菌が次々に増殖し拡大します。
そして、これらの細菌が歯の内部や歯肉の奥に侵入してしまうと、深刻な虫歯や歯周病になってしまいます。
また、昨今では全身に虫歯や歯周病が原因となる健康への悪影響があることも明らかになっています。

歯周病の恐ろしさとは

進行初期の歯周病は痛みなどもなく自覚症状もありません。
40代以上のおよそ8割が感染し、その多くが歯周病であることに気付かないといわれるほど罹患率が高く、国民病の一つといわれています。

歯周病は歯の周囲の歯肉や骨に炎症を起こします。
炎症を起こした歯肉や骨は歯を支える力が弱まり、歯がぐらつき最終的には歯が抜け落ちます。
歯周病は先ほども述べた通り、痛みがないままに進行するため、歯周病のなんらかの症状を自覚した時には、病状がすでに進行した状態である、というケースも少なくありません。
歯周病は完治が困難な病気のため、治療の目標は進行を食い止めることや遅らせることに主軸を置きます。
また、歯周病治療の後も適切な治療とメンテナンスを定期的に継続させなければ、歯周病再発のリスクも高まってしまいます。
かつては歯が抜け落ちたりする歯周病の症状は老化現象によるものと考えられていたため、歯周病予防の重要性を広く認知することが私たちをはじめとする歯科医院の急務となっています。

人間の全身と歯周病の関係について

歯周病は日々のブラッシングを怠っただけで発生するわけではありません。
歯周病発生のリスクを高める主な要因としては
・「喫煙習慣」
・「偏った食習慣」
・「肥満」
・「不規則な生活習慣」
・「ホルモンバランスの乱れ」
・「家族的な要因」
・「薬剤の影響」
など様々なものが挙げられます。

病気と歯周病にも大きな関係があります

近年の研究で、歯周病は生活習慣病をはじめとする様々な病気と関わりがある、ということが明らかになっています。
歯周病は特に糖尿病や心臓疾患、脳血管疾患などの生命にかかわる重篤な病気の要因であるとも言われています。
歯周病の菌、は出血した歯肉から血管を逆流し、わずか十数秒足らずで全身を巡ります。
歯周病菌は、血栓を形成する原因ともなります。
さらに、多くの糖尿病患者が重篤な歯周病患者でもあることから、歯周病と並行した糖尿病の治療が行われることもあります。
他にも、歯周病菌が気管に侵入することによっておこる誤嚥性肺炎、早産や低体重児の出産リスクが上昇することなども明らかになりつつあります。

歯のクリーニングで虫歯と歯周病を予防しましょう

人間の身体に恐ろしい悪影響を与える歯周病や虫歯ですが、日々の対策でそれらの発生リスクを低くすることが可能となってきています。
では、効果的な虫歯や歯周病予防のクリーニング方法とはどのようなものなのでしょうか。

自宅でできる歯のクリーニング

虫歯や歯周病予防で最も基礎となるのが自宅でのブラッシングです。
歯並びや顎の大きさ、歯の大きさなど個人差があるため、ブラッシングにはご自身のお口に合った歯ブラシを使用し、適切な方法で行いましょう。
ご自宅でのブラッシングに欠かせないのが歯ブラシ、デンタルフロス、歯間ブラシ、そしてタフトブラシです。
市販の歯磨き粉は口臭の原因となるドライマウスを引き起こすきっかけにも繋がるので、使用はなるべくお控え下さい。
ご自宅でのクリーニング効果を高めるためには、定期的に歯科クリニックでプロである歯科衛生士によるチェックを受け、歯磨きの指導をしてもらい、歯科クリニックでのクリーニングも並行して受けることが大切です。

歯科医院での歯のクリーニングについて

歯科医院では保険適用のクリーニングと自費によるクリーニングなど様々なプランや方法が準備されています。
個々のお口の状態と希望に合った方法を利用し、最低でも半年に一回は定期的に歯科医院でのクリーニングを受けるようにしましょう。

予防歯科の重要性について

治療内容によって異なりますが、予防歯科には保険が適用されない場合があります。
しかし、歯周病や虫歯予防のポイントは早期の発見と治療です。
また、症状が表れてから治療をするより、徹底した予防を行う方が長期的に見て治療にかかる費用を抑えることができます。
そして、歯周病や虫歯を予防することで、結果的に全身的な不調や病気の予防にもつながります。
このことから、予防歯科は非常に重要な概念であるといって良いでしょう。

まとめ

歯のクリーニングやメンテナンスは、人によってはあまりなじみのない歯科治療といっても良いでしょう。
しかし、全身の玄関口であるお口の健康が損なわれると、翻って全身の健康にも影響を与えてしまいます。
不調を予防するためにも歯のクリーニングを行う意義は非常に大きいです。
生活の質を高め、健康な毎日を行うためにも日々のブラッシングや定期的なメンテナンスを習慣化していくのが重要なのです。

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