虫歯発生のメカニズムとは

2019年7月31日 八王子 歯医者 多賀歯科医院 コラム写真

時代の流れと食生活

欧米先進国では美しい歯を保っている人が多く、特に北欧のノルウェーやスウェーデンなどでは虫歯に罹患している、という人はほとんどいない、というデータもあるそうです。
このように、虫歯を患っている方の多い日本人ですが、人類学者の研究によると、縄文時代の日本において、ほとんどの人が虫歯を患うことがなかった、ということが明らかになっております。
その後、時代の流れとともに食生活が変化し、特に砂糖の摂取量が増加するにつれて、虫歯になる人が急激に増加していったのです。

日本における砂糖の消費量の推移と虫歯罹患者率を示したデータを見ると、砂糖の消費量と虫歯の罹患者数が見事に比例していることを読み取ることができます。
昭和17年前後から日本における砂糖の消費量が大幅に減少した時期があります。
これは太平洋戦争のために砂糖の消費が低下したのですが、それと時を同じくして、虫歯の患者数も減少しているのです。

細菌が砂糖を分解すると酸が発生する。この酸が歯を溶かし、虫歯になる

虫歯の発生には、細菌と砂糖(蔗糖)が必要です。
そもそも、私たちの口腔内にはさまざまな細菌が存在しています。
それらの細菌は何かを食べて活動しています。
細菌たちは、口腔内に残った様々な食べかすを食べ、発酵させます。
発酵を行った結果、乳酸などをはじめとする酸が発生します。
このとき、口腔内の菌のひとつであるミュータンス菌をはじめとする一部の菌が砂糖を発酵させることで、たくさんの酸が生み出されます。
この酸が歯の表面を覆うエナメル質を溶かすことで、いわゆる虫歯となるのです。
ご存知の通り、人間の歯はとても硬くて強いものです。
特に歯の表面を覆うエナメル質は、自然界ではダイヤモンドの次に硬いといわれています。
しかしながらエナメル質には大きな弱点があります。
エナメル質はカルシウムを多く含んでおりますが、このカルシウムは酸に非常に溶けやすいという性質を持っています。
このカルシウムが酸に解かされることを「脱灰」と呼びます。
エナメル質が酸で溶かされ、穴が象牙質まで到達すると、有機成分の多い象牙質に様々な細菌がとりつくようになります。
細菌によって象牙質の有機成分が腐敗していくことで、虫歯は急速に進行してしまいます。
そのため、硬く丈夫なエナメル質より、柔らかい象牙質の方が虫歯は早く進行するのです。
外見上の虫歯の入り口は小さくても、内部で大きく進行してしまうのです。

最も虫歯をつくる力が強いのは砂糖

糖類には砂糖のほかにブドウ糖、果糖、乳糖などがあります。
これらの糖類の中でも、最も虫歯をつくる力が強いのは砂糖です。
ほかの糖は砂糖と比較をするとこの力はそれほど強くありません。
そのため、甘いものを食べたいときは、果糖など、砂糖以外の糖類を含んだ食品を食べた方が虫歯のリスクを低く抑えることができます。
このように虫歯発生のメカニズムを知れば、虫歯を予防するポイントを知ることができます。
虫歯の予防については後述しますが、まず、食生活に注意して硬くて頑丈な歯をつくること、糖類、特に砂糖を摂取しすぎないこと、細菌が多くならないように食後に正しいブラッシングを行うこと、以上の3つが虫歯予防の基本的な3大原則になります。

虫歯の進行のメカニズム

歯の構造は、歯冠部の表層を硬い「エナメル質」が覆い、その内部は、有機質が多くやや軟らかい「象牙質」で構築されています。
そして、その中心部には血管や神経が通っており、ここは「歯髄」と呼ばれています。
さて、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、実は虫歯の進行レベルにも呼称があります

進行レベル①「C1」

脱灰の程度が軽く、虫歯が歯の表面のエナメル質にとどまっているものを「C1」と呼びます。
C1では症状をほぼ感じることがないため、しみることもありません。
また、C1も状態が軽いうちであれば、予防を徹底することで歯の再石灰化が起こり、虫歯の進行の停止や、状態の回復を得られる場合もあります。

進行レベル②「C2」

虫歯がエナメル質を抜け、象牙質に達したものを「C2」と呼びます。
C2も、進行が軽い内はしみたりする症状を感じることはほぼありませんが、深部に達すると冷たいものや甘いものを飲食した際に歯がしみるようになります。
この状態になると、虫歯の進行度もかなり歯髄に接近している状態です。
歯を削って充填を行ったり、金属冠などをかぶせたりすることで虫歯を治すことができるのは、この進行程度までです。
C2の状態で、さらに虫歯の進行が進んで歯髄に接近すると、冷たい食べ物や飲み物だけでなく、熱いものの飲食でもしみるようになります。
この状態まで進行してしまうと、特殊な歯髄保護処置を施さなければ歯髄を助けられなくなる、という場合もあります。

進行レベル③「C3」

C2からさらに虫歯を放置すると、虫歯は歯髄に達します。
そうすると歯髄が細菌に感染します。
この状態では炎症を起こし、歯痛が始まります。
最初は軽い痛みを感じる程度ですが、これを放置すると間もなく、ズキンズキンとうずくような、激しい痛みへと変わります。
この状態を「C3」と呼びます。
虫歯がC3まで進行してしまうと、神経を抜き取る抜髄しか治療の選択肢はありません。

歯冠部は崩壊

C3で治療をせずに放置をすると放置すると歯冠部は崩壊します。
そのため、歯根しか残らない状態となります。
この状態になってしまうと、歯根の中心の穴(根管)を通って細菌が顎骨に感染し、腫れ上がってしまいます。
虫歯の各段階で治療方法は異なるため、段階に応じた適切な治療を施すことが大切です。

PAGE TOP